虫歯の正体②
30年以上、歯のメンテナンスに通われているAさん。
先日も、定期メンテナンスにいらっしゃいました。
現在は、固定性の高い入れ歯を使われていますが、今でも何でもよく噛めるとのこと。
この入れ歯も、もう20年近く使っていただいている、私が製作した「コーヌスクローネ」というドイツ式の義歯です。
実は、Aさんがこの入れ歯になったのには、ある理由があります。
当時、Aさんの上顎には、すべての歯をつないだ大きなブリッジが入っていました。
そのブリッジも私が作製したもので、継続的な歯のメンテナンスによって10年以上、問題なく使っていただいていました。
ところがある時、突然、虫歯ができて痛くて噛めなくなってしまったのです。
レントゲンを撮ってみると、ブリッジを支えている歯が数本、虫歯になっていました。
「Aさん、最近何か変わったことはありませんか?」
「4か月に1回のメンテナンスにもきちんと来ているし、どうしたんでしょうね?」
「私、確かに甘い物は大好きですけど、先生に言われた通り、できるだけ食後すぐに食べるようにしていたし、気を付けていたんですけど」
「そうですよね。10年以上何もなかったのに、急ですものね」
どうも腑に落ちません。
「Aさん、どんなことでも構いません。最近、生活の中で変わったことや、新しく始めたことはありませんか?」
「えーと……。そうそう、牛乳屋さんが一生懸命勧誘に来て、最近、毎日牛乳を飲むようになりました」
「牛乳ですか?」
「はい。しかも夫があまり飲まないので、夫の分も私が飲んでいます」
「どんな牛乳なんですか?」
「フルーツ牛乳です」
「それは、いつ頃からですか?」
「2、3か月前から頼むようになりました」
そこで私はピンときました。
「Aさん、虫歯の正体が分かりましたよ」
「えー、何ですか?」
「毎日飲んでいるフルーツ牛乳です。しかも、ご主人の分まで飲んでいますよね」
「えーっ。でも牛乳屋さん、良い人なのでやめられないわ」
最初のうちは、飲まずにそのまま頼み続けていたそうです。
しかし、毎日届くものを飲まずに捨てるのも、やはりもったいない。
最終的には、配達を中止することになりました。
虫歯というと、多くの方は「歯磨きが足りなかったのかな」と考えます。
しかし実際には、それまでなかった新しい食習慣や飲み物の習慣が、突然、虫歯のリスクを高めることがあります。
特に甘い飲み物は、本人にとっては「飲み物」という感覚なので、お菓子ほど警戒しないことがあります。
Aさんも、きちんとメンテナンスに通い、甘い物の食べ方にも注意していました。
それでも、毎日の生活に新しく加わったフルーツ牛乳が、思わぬ落とし穴になっていたのです。
歯の状態が急に変わった時には、必ず何らかの変化があります。
私は、歯だけを見るのではなく、その方の生活そのものをお聞きすることも、予防歯科ではとても大切だと考えています。
そしてAさんは現在も、定期的な歯のメンテナンスを続けながら、20年近くこのコーヌスクローネを使っていただいています。
北区・田端で歯のクリーニング、予防歯科、定期メンテナンスをお考えの方は、富士歯科医院へお気軽にご相談ください。




